
Bluescape (2023)
時々、世界はバケツがひっくり返ったように、様々な出来事が一度に訪れる。仕事の良いことも、すれ違う人間関係も、ふとしたプレゼントも、全てはなんの前触れもなく空から急に降り注ぐ。映画マグノリアのカエルのシーンをご存知だろうか。神様は時に時間をいたずらし、支離滅裂な脈絡で特殊な日々のストーリーは出来上がる。そこには特別な意味はない。ただ、それは起こるのだ。起こるべくして、まるで遠くからやってくる竜巻のように、静かに、無慈悲に、穏やかに。
けれども、僕らはじっとしているわけにはいかない。毎日の、迫り来る理不尽な外界と常に闘うために、言葉というダウンジャケットを身にまとい、いつカエルが降ってきてもいいように、ある種の心構えが必要なのかもしれない。ペンや言葉は武器になる。そして、物語の中に拳銃が出てくれば、それは必ず発射されなければならないのだ。チェーホフがいうように。忘れてはならないのはそういうことだ。
近ごろの、ひっくり返ってきそうな空の晴天を毎朝眺めるたびに、そんなことをふと思う。物事は一瞬にして激変する。世界の景色はルーレットのように様変わりする。好むと好まざるにかかわらず。それでも、時間は止まらない。いや、むしろ加速していく。やるべきことは、精一杯に、時に今を刻まなければならないことだ。心がけなければならないのは、自分の心と周りの声にそっと耳を傾けることかもしれない。











